ピンク、サテン、いちご

お題「お気に入りの部屋着」

卒業旅行の前に仲の良い友人達とお揃いで買った、いちご柄。大学生の頃、学校終わりのバイト前、毎日のようにカフェに行って好きなアイドルの話で盛り上がる。世間が思うイマドキ女子大生のキラキラした会話!なんてのもほとんどしたことないし、それがなんなのかもよくわからない。でも楽しくて、居心地がよくて、何十回もしたアイドルの話が、私たちにとってはキラキラした会話だったんだと思う。

喧嘩をしたこともないし、毎日一緒にいるし、なんでも話せる関係だけど、遠出とか誰かの家でお泊まりとか全然したことがなかった。なんなら他の友達とのほうが遠出してる。彼女らと遊んだ中でどこかに泊まったのは3回。大学3年生の時に出会ってから何回も遊んでるのに、たったの3回。それも大学4年生の11月、2月、3月。卒業を前にして、急に思い出したかのようにお泊まりしだしていて笑ってしまう。

 

2月、卒業旅行に行くために準備を始め出した頃、友人の1人が「みんなでパジャマお揃いにしようよ!」と提案した。選んだのはピンク色のサテン生地のいちご柄のパジャマ。あまりにも可愛らしすぎて似合うか不安だったけど、そんなことよりも、友達とお揃いというのが久しぶりで、くすぐったくて、嬉しかった。旅行先のホテルで何枚も写真を撮った。

3月、卒業式の後にそのまま近くのビジネスホテルに泊まって夜通し喋った。もちろん、いちご柄も持参して。1人は持ってきていなかったけど。(なんで持ってきてないの!と散々言われていておもしろかった)

社会人になった今、ビデオ通話をしていると時々この時の話になる。「全員お揃いのパジャマ着た成人女性とかキモすぎる!」とか「うちらおかしいよ!」とかそれぞれ言っているけど、誰かがいちご柄を着て映っていると、みんな「お!着てんじゃん!」と嬉しそうにする。そこに参加しながら、やっぱりこの関係いいな、大好きだな、と思う。

 

あのいちご柄は、引越しをする度に一緒に持っていくだろうし、ボロボロになるまで着るし、着られなくなっても捨てないと思う。かといって新調するわけでもなく、あの時みんなで一緒に買った時のいちご柄じゃないと意味がない。ただのパジャマに対して私がこう思ってることがみんなにバレてしまったら、また「キモいな!」とか言われるんだろうな。でも嬉しそうにしてくれたらそれでいい。

 

自分では絶対に買わない、ピンク色の、サテン生地の、いちご柄。これを書きながら今も着ている。